まごころ居宅介護支援事業所
POSTED.2023.09.15
AIにまさるもの
早く涼しくなってほしいですね。
みな様、こんにちは。まごころケアマネジャーです。
前回に引き続き「故人」にまつわるお話を。
「デジタル故人」という言葉をご存じでしょうか。
簡単に言うと人工知能技術により故人を再現し、再び対話ができるといったものです。
基になるのは故人の写真やつぶやき等SNS上の投稿、音声や動画といったデジタルデータ化できるもので
それらをAIに入力すると、その人の容姿や喋り方、仕草、思考パターン等が再現されるようです。
甲賀市や滋賀県ではまだ聞きませんが
欧米・韓国辺りでは既に商用化され、お金を払えば利用できるとのこと。
故人を「加工」することに、倫理の問題や権利の所属、もし犯罪の誘因になった場合に責任の所在等
様々な課題をはらむことになりますが、それは他で議論いただきましょう。
ケアマネジャーとしても、グリーフケア(遺族ケア)に一役買ってもらったり
看取り期の支援振り返りに参加してもらったりできると、
最強の社会資源になるのではないかなと思います。
ところでこのデジタル故人、本当に「再現」できるのでしょうか。
現実だった生前の映像を立体化して再生しているわけではなく、
私達と同じ時間軸の中で一個人としてあたかも「生きている」ように見えるのです。
そもそも個人の思考が全てSNS上に公開されているはずはなく
誰しも頭の中の考えを全て会話にしたり行動に移したりすることはありませんよね。
ということは、入手可能だった断片的な情報から「生成された」故人に過ぎないのではと思ってしまいます。
故人に似た何かを創り出しても、生前の関係が親しければ親しいほど
それへの違和感は大きくなるような気がします。
古典落語の演目の一つに「反魂香」というお噺があります。
あらすじは省きますが、「反魂香」というお香を焚くと、因縁のあった死者を幽霊として呼び出せるというもので
こちらは100%保証付き本物の故人で、もちろん対話も可能です、気味悪さを無視すれば。
近い将来、情報の不足分さえAIがそれらしく補完して、完全な故人と対面できる日が来るかも知れません。
それまでは幽霊の方に訊いてみたいです、
「あなたのケアマネ、私で良かったんでしょうか?」